県が減災効果試算、対策啓発に注力
12年ぶりに更新した県庁直下地震の被害想定に関連し、県は22日までに、県内住宅の耐震化率が100%になった場合、想定される全壊棟数と建物倒壊による死者数は、いずれも約8割減少するとした減災対策効果の試算を公表した。県は具体策として(1)耐震化(2)揺れを感知すると電気を遮断する感震ブレーカーの設置(3)家具類の転倒対策を3本柱として重要性を強調し、県民への啓発に注力する考えだ。
試算は、県庁直下マグニチュード(M)7・3の地震が、火気使用などで被害が最大となる冬の深夜や夜に起きる場合を想定した。
県によると、今年3月時点の県内住宅の耐震化率は92%で、最大級の地震による住宅の全壊は、112万806棟のうち5万8844棟(5・3%)に上ると推計した。
一方、耐震化率が100%になった場合、全壊は8割減の1万2147棟と算出。死者数も3539人から634人に8割減り、負傷者数も2万3126人から7231人に7割減少すると推定した。耐震化しても震度7の揺れに耐えられない場合や、過去の地震で蓄積された損傷で被災する可能性はあるが、大幅な減災につながると見込む。
耐震化率は下野市の96・2%が最も高く、上三川町が96・1%。計13市町が90%台だ。低いのは塩谷町の76・0%、芳賀町80・2%など。県建築指導課は耐震化が必要な住宅について「高齢者宅の割合が高い。費用面や信頼できる業者を探すのが課題」と指摘する。
今回の被害想定では、国が普及に力を入れている感震ブレーカー設置による減災も試算した。地震で損傷した配線部分などから出火する電気火災を防ぐ装置で、県内の24年度時点の設置率は20・6%だった。調査では地震に伴う火災で8816棟が全焼するとしたが、設置率が100%になると全焼棟数は4917棟に半減。火災の死者数も441人から半減するとみる。
また、県内住宅で家具類の転倒や落下防止対策実施が100%になると、死者数は269人から78人に7割減少すると算出した。
発災当日の避難所の避難者数は約14万人を見込む。一方、耐震化など3本柱に加え、土砂災害警戒区域対策などが進めば、約4万7千人に減ると推定。経済被害も8兆9千億円から、2兆9千億円に抑えられるとみる。県内被害の軽減に向け、県の担当者は「県民一人一人の取り組みが重要だ」と訴えている。

【課題】 「分かっていても対策できない住宅」をどう減らすか
耐震化が遅れる住宅には、高齢者世帯や費用負担、施工業者選びへの不安などの課題がある。県・市は啓発だけでなく、耐震診断・改修への補助拡充、低所得・高齢者世帯への重点支援、信頼できる事業者の紹介、感震ブレーカーや家具固定への助成を進め、地域ごとの耐震化率の格差縮小を図る必要がある。
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