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時価総額10兆円超の日本企業、最多12社に 7月初め時点

巨大企業に資本が集中

 東京株式市場で時価総額10兆円以上の企業が増えてきた。海外マネーが流動性の高い主力株に向かい、7月初めには12社と過去最多を更新した。米国でも一部のハイテク株に資金が集中し、S&P500種株価指数時価総額は上位10社が全体の3割強を占める。世界景気の先行き懸念が残るなか安定した利益成長や株主還元が見込める企業が選ばれている。

時価総額10兆円以上の日本株は22年末の5社から倍増した。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド信越化学工業三菱商事などが23年に初めて大台へ乗せた。14日時点では8社だ。

一方で時価総額1000億円未満の企業数は足元で約3200社と3月末からほぼ動いていない。

米国では一部にけん引役が集中し、アップルなど巨大IT(情報技術)5社にエヌビディアとテスラを加えた7社が「マグニフィセント・セブン」と呼ばれ始めている。22年末から23年7月14日までの上昇率は最も低いアルファベットでも42%と、S&P500(17%)の2倍強だ。


iPhone」が販売好調で6月末には時価総額終値で世界初の3兆ドル台に。

人工知能(AI)用の画像処理半導体が好調なエヌビディアは3.1倍、テスラは2.3倍と急伸している。

ハイテク株中心のナスダック総合指数は22年4月以来の高値水準を回復した。インフレ率が低下したことで金融引き締めが終局に近づくとの思惑が広がり、テック株が資金を吸い寄せている。

QUICK・ファクトセットによると、S&P500構成企業の上位10社の時価総額が全体に占める比率は32%。年初より7ポイント上昇し直近5年間では最高水準だ。

米上位10社だけで時価総額は計13兆ドル弱と、日独英の全市場合計(約11.5兆ドル)を上回り存在感が突出している。

主力銘柄への集中は欧州でも進む。主要600社でつくる株価指数ストックス600では上位10銘柄の時価総額シェアが2割強と、直近5年で最高水準にある。

フィデリティ投信の重見吉徳マクロストラテジストは米株式市場でのテック株への集中について「不景気時にも安定したキャッシュ創出力とAIなどの成長性を兼ね備え、どちらを向く投資家からも評価を得た結果」と話す。

投資マネーの集中は何かのきっかけで前提が変わった際、一気に崩れるリスクをはらむ。欧米ではなお高インフレ環境が続き景気悪化の懸念がくすぶるなか、大型株頼みの相場の耐久力が試される。