ほさか栄次のブログ

ほさか栄次のブログです。

米自動車労使交渉大詰め ストなら10日で損失8200億円

米自動車労使交渉大詰め ストなら10日で損失8200億円

全米自動車労組UAW)と米自動車大手の労使交渉が大詰めを迎えている。4年間の労働協約の更新に向け、労使は7月中旬から交渉を重ねてきたが、隔たりが大きい。UAWは14日深夜の現行協約の失効までに合意できなければ、ストライキに突入する方針を示している。一斉にストに入れば影響は大きく、10日間で56億ドル(約8200億円)の経済損失が発生するとの試算もある。

 

UAWは米ゼネラル・モーターズGM)と同フォード・モーター、米ブランドのクライスラーを抱える欧州ステランティスの3社との間で、4年に1度の協約見直し交渉を進めている。ここ数日、組合側が賃上げ率などで一部譲歩をみせたとの現地報道もあるものの、合意のめどはみえていない。

UAWとフォードの関連施設、右奥はGM本社、デトロイト市)】

 

UAWは約40万人の組合員を抱え、今回対象の3社は15万人とされる。今回の交渉ではここ数年間、米国内で進んだインフレに加え、GMなど会社の業績が改善したとして組合員の待遇を抜本的に高める要求を掲げてきた。

4年間で40%の賃上げ、確定年金復活、物価水ラド生活費復活 を要求

4年間で40%を超える賃上げに加え、勤続年数の長短で労働者の給与体系が異なる格差の是正も求めた。さらに、GMなどが2000年代後半に経営危機に陥った際に廃止した確定給付年金や、物価に応じ賃金が上がる生活費調整(COLA)の復活も求めている。

UAWはフェイン会長(右)のもと、組合員の待遇改善を要求=ロイター】


会社の10%の賃上げを一蹴

会社側の回答は要求を満たしていない。3社とも10%台の賃上げ率にとどまる回答で、COLAなどの導入も認めていないもようだ。9月上旬、UAWのショーン・フェイン会長は「侮辱的な提案だ。組合員の時間を無駄にしている」とGMの回答を一蹴した。

3社が組合の要求を簡単にのめないのは、賃上げに加え、COLAなどは確実に中長期のコスト負担につながるからだ。各社には、従業員への手厚い待遇が積み重なったレガシーコスト(負の遺産)が2000年代後半の経営不振を招いた苦い記憶がある。

組合の要求をのむと負担が重くなる一方、のまずにストを打たれた場合の打撃も大きい。米コンサルティング会社アンダーソン・エコノミックグループは、3社で10日間のストライキが実行された場合の経済損失を56億ドル超と見積もる。労働者側の給与損失が8億ドル超になる一方、3社の収益もあわせて10億ドル弱のマイナスになる