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アマゾン配達、けが労災 個人事業主「労働者同等」 横須賀労基認定  

アマゾン配達、けが労災 個人事業主「労働者同等」 横須賀労基認定

 

 アマゾン配達員労災認定について、毎日新聞は次のように報じた。

 

アマゾンの商品配達中に負傷して労災認定を受け、記者会見する個人事業主の男性(右)=厚生労働省で2023年10月4日午後、共同

 

 インターネット通販大手「アマゾンジャパン」の商品配達を委託された個人事業主の男性(65)が、配達中のけがについて、横須賀労働基準監督署から9月26日付で労災認定を受けた。弁護団によると、認められたのは50日間の休業補償で、配達業務に携わる個人事業主が労災認定されたケースは初めてとみられる。

 弁護団などによると、男性は神奈川県横須賀市在住で、2022年9月9日夜、同市内の個人宅に商品を届けようと階段を上ったところ、足を滑らせて階段脇に転落。病院で腰椎(ようつい)圧迫骨折と診断され、約2カ月間仕事を休まざるを得なかった。


貨物自動車に配達する商品を積み込む男性=本人提供(画像の一部を加工しています)

 

 男性は19年にアマゾンの下請けの運送会社「若葉ネットワーク」(横浜市)と業務委託契約を結んだ。個人事業主は仕事中にけがをしても雇用関係のある「労働者」と違い、労災保険の休業補償などを受けられない。

 一方、男性はスマートフォンのアマゾン専用アプリで商品の配達先などを示され、アマゾンが定めた週60時間の労働時間を超えないように管理されていた。このため、業務遂行上の指揮監督を受けて時間的拘束性もあったとして、労働者と同等の労災が認められるべきだと主張。22年12月に横須賀労基署に労災申請した。

 菅俊治弁護士は会見で、「下請け業者と(業務委託)契約している配達員はアプリなどを通じて毎日大量の配送が指示され、男性に限らず配達中の事故、けがも発生している。(今回の労災認定で、今後)多数の配達員が救済されることになる」と強調した。

「誰かが行動起こさないと」

 横須賀労働基準監督署から労災認定を受けたアマゾン配達員の個人事業主の男性は4日、弁護団とともに東京都内で記者会見に臨んだ。

 「職場の同僚たちに認定されたことを伝えると『今後の働き方が(良い方向に)進んでくれたらいい』と喜んでくれた」。男性はそう言って表情を緩めた。

 男性を支援してきた菅俊治弁護士は会見で、アマゾンの専用アプリ「ラビット」が広く配達員に使われており、今回の労災認定によって多くの個人事業主が「労働者」として認められる可能性が高くなったと指摘。その上で、「有給休暇の保障や残業代の支払いを含む労働基準法上の権利行使の可能性を開いた」と述べた。

 労災が認められてから3日後の9月29日夜、男性は所属する「アマゾン配達員労働組合横須賀支部」が神奈川県横須賀市で開いた会合に出席した。仕事で遅れて到着すると、集まった他の組合員に拍手で迎えられ、「50日間の休業補償が認められました」と報告した。

 男性は高校卒業後、日産自動車に就職し、同市の久里浜工場などで自動車部品の加工を担当していた。しかし、「コストカッター」と称されたカルロス・ゴーン氏が経営陣に加わると、工場閉鎖や大規模な人員削減が進められた。男性も早期退職に応じ、約30年間勤めた日産を離れることになった。「若いうちに次の仕事を探した方がいい」という苦渋の決断だった。

 退職後、個人事業主のドライバーとして、横浜市内で宅配会社やネットスーパーから商品配達を請け負った。年を重ねるうちに体力が衰え、地元で仕事がないか探していた。そんな時に目に入ったのが、アマゾンジャパンの下請けの運送会社が募集する商品配達の仕事だった。

 運送会社と業務委託契約を結んで、2019年からアマゾンの商品配達を横須賀市内で始めた。初めのうちは1日当たり100~120個の商品を運んだ。しかし、ラビットが21年6月に導入されると、1日当たりの商品は多いときには200個以上に急増した。

 ラビットは配送ルートを最適化するとのうたい文句だったものの渋滞などで必ずしも配達は順調にいかない。いくら商品が増えても配達を拒否できなかったが、業務委託契約でもらえる報酬はほとんど増えなかった。

 腰を骨折する大けがをしたのは、多くの荷物をさばかなければならなくなっていたころだった。同じ個人事業主の仲間の中には、配達中の事故でけがをして離職したり、一方的に契約を打ち切られたりした人もいた。

 「自分は年金があったからなんとかなったが、(他の人なら)生活がおかしくなっている。誰かが行動を起こさないといけない」。男性は労災申請後、そんな思いを記者に語った。

 男性は4日の会見でこう訴えた。「(配達中の事故やけがが)表に出てくるのはごく一部。泣き寝入りする人がいっぱいいる。私もここでけがをしたら、死んだら、どうなるんだろうという気持ちで配達していた。誰かが言わないと状況が分からない」。男性は整骨院に通いながら、今もアマゾンの商品を届けている。

 

 

🔶視点:実質的には雇用関係=労使関係にありながら、委託契約を結び、雇用者責任をのがれようとする実態は多々ある。本件の労災認定を基に、同様のケースで被害をうけている労働者救済が求められる。それをだれがやるのか、労働弁護団、一人でも入れる労働組合=ユニオン、労働者の立ち場に立った政党か。