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「血のついた手」と批判 離れゆくバイデン氏支持者

「血のついた手」と批判 離れゆくバイデン氏支持者

イスラエルによるガザ攻撃の即時停止などを訴えるデモ参加者ら=米首都ワシントンで11月4日午後(毎日新聞より)

 

 毎日新聞は、以下のように報じた。

 

イスラム組織ハマスイスラエルによる戦闘が、バイデン米大統領を揺さぶっている。

 イスラエルによる国際法を無視するような空爆や地上攻撃を「黙認」していることへの反発が、米国内で広がっているからだ。

 2024年大統領選まであと1年。アラブ系や若者の離反は、バイデン氏の再選戦略を崩す可能性がある。

パレスチナに自由を!」の叫び

 ホワイトハウス近くの広場「フリーダムプラザ」が4日、パレスチナの旗やさまざまなメッセージを記したプラカードを持った人たちで埋め尽くされた。

 米メディアによると、その数は数千人。身動きが取れないほどの混雑の中、「パレスチナ人を自由に!」や「今すぐ停戦を!」のかけ声が繰り返し巻き起こった。

 即時停戦の訴えと並んで目立ったのは、イスラエルへの支援停止を求める訴えだ。「バイデン氏の手には血がついている」「ガザでの殺人行為に対する資金提供を止めろ」……。そんなプラカードがあちこちで掲げられていた。


停戦を求めてデモに参加したリサ・クレマンズさん(中央右)=米首都ワシントンで2023年11月4日(毎日新聞

 

 東部メリーランド州に住むシンクタンク研究員のリサ・クレマンズさん(52)は停戦を求めるプラカードを持って参加していた。

 パレスチナ人の権利を求める活動を支援し続けてきたと話し「これまで見てきたデモの100倍以上の規模で、停戦を支持する声がいかに幅広く、大きいかが分かる」と語った。

 会場では、パレスチナ系のほか、ユダヤ系や中南米系、韓国系、ボスニア系の団体などが停戦を訴えていた。若者が多く、「差別」や「不正義」に憤っているという印象を受けた。

 クレマンズさんは語気を強めた。「バイデン氏はさまざまな立場の人たちがどれだけ停戦を支持しているかを理解していない。爆弾投下を止めなければならない」

「特別な関係」、今も

 米国とイスラエルは同盟国で「特別な関係」にある。第二次世界大戦後、米国はユダヤ人国家の建設を支援し、イスラエルが建国を宣言すると当時のトルーマン大統領が世界で最も早く承認した。

 冷戦期には、アラブ諸国との関係強化を図った旧ソ連に対抗し、民主主義を掲げるイスラエルを強力に支援した。米議会調査局によると、軍事支援の総額は今年春時点で1580億ドル(約23兆円)に上る。

 バイデン氏は今回の戦闘が始まった直後、「米国はイスラエルを支える」と語り、イスラエルによる「反撃」を容認する姿勢を表明してきた。

 国連安全保障理事会では、大規模戦闘の一時的な「停止」を要請する決議案に対し、米国は拒否権を行使した。


イスラエルによるガザ攻撃の即時停止などを訴えるため米首都ワシントンに集まった群衆=11月4日午後

 

 こうした「肩入れ」の背景には、米政界内で与野党を超えた支持がある。人口に占めるユダヤ系の割合は約2%にとどまるが、信仰上の理由からイスラエルを重視するキリスト教福音派が米国では4人に1人を占めているという。

 そうした人たちのロビー団体は、豊富な資金力と集票力で親イスラエル政治家の当選を後押しし、そうでない政治家には落選運動を行ってきた。

 

変わる若者たちの世論

 ただし、民主党支持層の世論は変化している。調査会社ギャラップが戦闘開始前の3月に公表した調査結果では、イスラエルパレスチナどちらにより同情的かという質問に対し、同党支持層では49%がパレスチナと答え、イスラエルと回答した38%を上回った。過去20年あまりの調査でパレスチナが上回ったのは初めてのことだ。

 バイデン氏のイスラエル支援には不満が強まっている。同社が10月に実施した調査結果では、バイデン氏の支持率は9月より4ポイント減少して37%。民主党支持層だけで見れば86%から75%に急落した。

 党内には動揺が広がっている。急進左派のジャヤパル下院議員はテレビ番組で、24年大統領選で敗れる危険性を「初めて感じている」と明かし「イスラム系やアラブ系の米国人、若者たちはこの紛争を道徳的な問題だと考えている。私たちがこの問題に取り組まねば(若者たちは民主党の)テーブルに戻ってこないだろう」と懸念を示した。


デモ参加者のプラカードにはバイデン米大統領を批判するメッセージも目立った=米首都ワシントンで4日午後、西田進一郎撮影