ほさか栄次のブログ

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「流域治水」の時代が始まる 地域と多面的協働で実現 

 河川水害対策について、下野新聞は、次のように報じた。

宇都宮大地域デザインセンター設立

全国各地で災害が頻発する中、本県の地域防災力底上げを目指して昨年12月に宇都宮大地域デザインセンター地域防災部門が設立された。同部門と連携して県内で起こりうる災害のリスクや大学教職員の研究成果や県内の団体・学生の取り組み事例などを紹介する。

 九州北部で記録的な大雨による川の氾濫や土砂災害が発生するなど、台風や豪雨による河川水害が毎年のように発生している。本県でも2015年の関東・東北豪雨や19年の台風19号を経験しており、河川水害は決して人ごとではない。

河川災害に備え、流域治水を

 近年、気候変動の影響によって、わが国は毎年のように激甚な河川災害に見舞われています。これに適応するために「流域治水」が提唱されています。これは、流域に暮らす全ての人々が協働して可能な限りの対策を講じ、洪水被害の軽減を目指すものです。河川区域のみが対象ではなく、ハードだけでなくソフト面からの対策も必要とされます。まさに総力戦です。

地域全体で雨水浸透、貯留促進を

 流域治水では、河川に雨水を集中させないために、地域全体で雨水の浸透・貯留を促進することが重要で、土地の利用状況に合わせた対策を実施することが肝要です。農地に関しては、水田に雨水を貯留する「田んぼダム」が代表的です。森林については、雨水の流出を抑制する「緑のダム」機能を適切な管理の下で健全に保つことが大切となります。市街地では、個人の庭や公共スペースで雨水を浸透・貯留させる「レインガーデン」の設置が効果的と思われます。

 ハザードマップの充実を

さらに今後、ハザードマップは国の施策により災害情報の共有プラットフォームとして飛躍的に充実することになり、地域ごとの住まい方を具体的に検討することも可能になります。それと並行して、防災行動を時系列で整理したタイムラインを地域や住民の個々の状況に合わせて作成し、地域で有機的に共有した「マイ地域タイムイン」をボトムアップで構築しておくことが重要です。

グリーンインフラの整備

 上述の浸透・貯留対策は自然の有する機能を活用するもので、グリーンインフラと呼ばれます。その本質は、自然の有する多面的機能によって複数課題の解決が可能なところにあります。自然の豊かな本県においては、治水を契機にグリーンインフラを軸として、地域のさまざまな課題の解決をも目指していくことが、流域治水のあるべき姿です。

 グリーンインフラ整備による豪雨災害対策が、温暖化による熱中症リスクの軽減や少子高齢化に伴う農地・森林の荒廃防止にもなり、それが生物多様性保全里山の景観の保護、地域観光の高付加価値化、そして住民の地域への愛着や満足度の向上につながります。

行政機関で幅広く情報共有を

 これを実現するには、行政機関の関係部署間で幅広く多面的な情報を共有し、施策の包括的な調整を図る仕組みを構築していく必要があります。