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男性の育児休業取得率 過去最高の約17%も目標には大きな開き

 

  NHKは、今年7月31日に育児休業について、以下のように報じた。

企業などで働く男性の育児休業の取得率は、昨年度、およそ17%と過去最高になったことが厚生労働省の調査でわかりました。ただ、政府が2025年までの目標とする50%までは開きがある状態です。

過去最高の17%も2025年の目標は50

この調査は厚生労働省が毎年行っているもので、去年10月に全国の3300余りの事業所から回答を得ました。

それによりますと男性の育休の取得率は17.13%で、前の年に比べて3.16ポイント増え、過去最高となりました。

女性の取得率は80.2%と4.9ポイント低下しました。


企業などの男性の育休取得率は今の方法で記録を取り始めた1996年度には0.12%でしたが、その後、上昇傾向が続き、2017年度には5%を超えました。

2019年度から2020年度にかけては7.48%から12.65%へと5ポイント余り増えて過去最大の伸び幅となりました。

昨年度は17.13%と前の年のの13.97%に比べて3.16ポイント増え、過去最高となっています。

ただ、政府は男性の育休取得率の目標を2025年までに50%、2030年までには85%に引き上げるとしていて、まだ、目標までは大きな開きがある結果となりました。

取得率「金融業・保険業」が最高 「卸売業・小売業」が最低


男性の取得率を産業別に見ると「金融業・保険業」が最も高く37.28%、次いで「医療・福祉」は25.99%、「生活関連サービス・娯楽業」は25.53%となりました。

取得率が最も低かったのは「卸売業・小売業」で8.42%、次いで、「宿泊業・飲食サービス業」で9.06%となりました。

企業規模大きいほど取得率高い傾向

また、今年度から年1回の公表が義務づけられた従業員1000人を超える企業などのうち、調査に答えた1400社余りの取得率は46.2%となり、企業の規模が大きいほど取得率が高い傾向があることがわかりました。

対象の企業の男性の育休取得日数の平均は46.5日でした。


男性の育休を後押しするために

政府は少子化対策として男性、女性とも仕事と家事育児を行う「共働き・共育て」を定着させるために、男性の育休取得を後押しする政策を強化しています。


去年10月には「産後パパ育休」制度が創設されて、男性は子どもが産まれたあと8週間以内に4週間まで休みを取得することができ、2回に分けて取ることも可能になりました。

給付の面では両親ともに育休が取得できるよう、現在67%となっている育児休業給付の給付率を2025年度から8割程度に引き上げ、手取り収入が変わらないようにするとしています。

給付率の引き上げは両親ともに出産後の一定期間、育休を取得した場合で、最長4週間を限度として検討が進められることになっています。

また、中小企業が育休取得の体制を整備する際や業務を代替する社員に応援手当などを支給する場合の助成の拡充などを検討するとしています。

現在、従業員数が1000人を超える企業に義務づけられている、男性の育児休業の取得率の公表を従業員数が300人を超える企業まで拡大する方向で検討が進められています。

育休を取得しない理由は

厚生労働省がことし3月に公表した調査では男性の正社員が育休を取得しない理由を複数回答で聞いたところ、最も多かったのは、「収入を減らしたくなかったから」で39.9%でした。


「職場が育休を取得しづらい雰囲気だった」または「会社や上司、職場の育児休業取得への理解がなかったから」が22.5%、「自分にしかできない仕事や担当している仕事がある」が22%、「残業が多いなど業務が繁忙であった」が21.9%などとなっています。

男性が育休を取得しても短期間にとどまり、家事や育児に十分な時間をさけない、いわゆる「とるだけ育休」も懸念されるとしています。

厚生労働省が行った2021年度の調査では育児休業は女性のうち95%が6か月以上取得していたのに対し、男性は「5日未満」が25%、「5日以上2週間未満」が26.5%で2週間未満の取得が半数余りを占めました。

人繰りに余裕ない中小企業の実情は

中小企業からは大企業ほど人繰りに余裕がないため、長期間の育休は取得しづらいのが実情だとする意見が聞かれました。

日本商工会議所などが去年全国の中小企業およそ6000社を対象に行なった調査では、「育休を取る人の代わりがいない」と回答した企業が52.4%と半数を超えました。

また「採用難や資金難で育休時の代わりの要員を外部から確保できない」が35.7%、「男性社員自身が取得を望まない」は28.8%にのぼりました。

東京・墨田区にある金属加工会社では、金属プレスやレーザー加工、3Dプリンターなどさまざまな機器があり、およそ50人いる従業員にはプログラミングや溶接など専門性の高い業務が割り当てられています。

ことし1月に子どもが生まれたという37歳の男性社員は、当初は2か月ほどの育休を取りたいと考えていたものの、実際に取得できたのは有給休暇で13日、育休としては1日にとどまったということです。


識者「当事者の支援や保護だけでなく働き方の構造改革を」

男性の育児休業の取得率が公表されたことを受けて、厚生労働省の委託事業「イクメンプロジェクト」のメンバーが記者会見を開きました。


プロジェクトの委員の1人で労働環境のコンサルティングにあたるワーク・ライフバランスの社長、小室淑恵さんは「男性の家事育児の時間が長くなるほど出生が伸びていて、少子化が深刻な日本社会はさらに力強く男性育休推進を進めるべきだ。同僚や上司が普段から長時間労働で休めていないような中では男性育休の取得日数は短くなったり取得を言い出せなくなったりする。育児当事者に対する支援や保護を増やすだけでなく働き方の構造を改革することが重要だ」と話していました。

 

【視点】

 育児休業は子供の健康と発達のため重要な制度だ。育児休業を取得することで、親は子供との時間をより多く過ごすことができます。これにより、赤ん坊や幼児の健康や発達にとって非常に重要な親子の絆が築かれます。特に初期の数か月や数年は、親が子供との関わりを持つことが重要です

 職場の状況によっては、年休さえもとれない、まして男性が育児休業をとることは厳しい職場、特に中小零細企業に多いのではないだろうか。年休、病休、育児休業と、健康で働きつづけるために、子どもを産み、健全に育てるために、働くものの権利として、これら休暇の取得率向上は大変重要だ。