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企業の賃上げ税制 財務省「減税要件が緩すぎた」と分析 

企業の賃上げ税制 財務省「減税要件が緩すぎた」と分析 

財務省の正門=東京・霞が関毎日新聞より)

 

毎日新聞は、以下のように報じた。

 

一定割合の賃上げをした企業の法人税を減税する「賃上げ促進税制」に関し、減税を受けるための要件が緩すぎたと財務省が分析していることが、毎日新聞が入手した資料で判明した。同税制に伴う2022年度の法人税減収の見込み額は過去最大の5134億円で、21年度の2倍を超えている。

 現行制度は、大企業は賃上げ率が前年度比3%以上、中小企業は同1・5%以上で15%の税額控除(上限は法人税額の2割)が受けられる。これを基本に、更に賃上げ率を1%以上引き上げると、大企業は25%、中小企業は30%になるように控除率が上乗せされる。

 資料によると、制度を利用した大企業の83・2%、中小企業の92%が上乗せ要件以上の賃上げを実行していた。企業の行動分析では、上乗せ要件である賃上げ率の前後で、企業数に極端な変化はなかった。

 そのため、制度があるから賃上げ率を引き上げたというよりは、物価上昇への対応を迫られ、結果として減税を受けた可能性があると分析している。

 企業が従業員の教育訓練費を増加させると更なる控除率の上乗せが可能な特例があるが、その利用は大企業で3割弱、中小企業で1割弱の適用にとどまった。要件が厳しかったとみられる。

 ただその一方、21年度の教育訓練費がゼロで、22年度にわずかな訓練費を使っただけで特例を受けた企業が大企業2%、中小企業で25%あった。教育訓練費を前年度比で1円増やしただけでも特例が適用されるため、制度の是正を求める声が出ている。

 与党税制調査会が17日に始める24年度税制改正に向けた議論では、賃上げ率や上乗せ要件などの見直しが焦点となる。

 

【視点】 日本経済低迷の原因が、日本の労働者の低賃金にあることは、近年やっと政府も認識し、政府としては賃上げ企業に税制負担を軽減する制度で企業に賃上げを誘導しようとしている。米国では自動車産業労組がストで、25%の賃上げを勝ち取った。日本の労組も、大企業が市場空前の利益を上げ、莫大な内部留保を貯めていることから、大幅賃上げを要求すべき。それが、労働者の生活向上に加え、経済を活性化させることになる。