10年以上「指定席」 公明が国交相ポストにこだわるワケ
12〜15年 太田昭宏
15〜19年 石井啓一
19〜21年 赤羽一嘉
21年〜 斉藤鉄夫
毎日新聞は、公明党が国土交通大臣のこだわるわけとして、以下のように報じた。
自民党と公明党が、次の内閣改造での国土交通相ポストを巡るさや当てを繰り広げている。公明は既に10年以上、国交相ポストを「指定席」にしており、自民からは「いいかげん返してほしい」(閣僚経験者)との声が漏れるが、公明は国交相こそ「我が党にふさわしいポストだ」(北側一雄副代表)と応じない構えだ。公明はなぜ国交相にこだわるのか。政治活動の現場を探ってみると、譲れない事情が見えてきた。
7日、石井幹事長お披露目い
建設・運輸・観光業界団体関係者600人が参加
8月 7日午後、埼玉県三郷市の市文化会館で2回に分けて開かれた公明県本部の「政経フォーラム」。次期衆院選で同市を含む埼玉14区から立候補する石井啓一幹事長(衆院比例北関東ブロック)を地元でお披露目する場となったこの会に、建設・運輸・観光業界団体の関係者ら約600人が詰めかけた。
国交相との面会機会を誘い水に、業界団体関係者に公明候補者への支援を事実上求める手法は、2012年の政権奪還以降、公明が国交相ポストを一貫して担う中で確立してきたノウハウだ。団体側も国交相と面識を持つ好機と見て総じて好意的に参加しており、過去にはお礼代わりに選挙時の電話作戦に活用できる関係者名簿を提供した団体もあったという。
国交省との結びつきは、学会員を含む一般有権者へのアピールポイントにもなっている。
「大衆とともに」の公明にとって国交省関連事業は重要
道路、鉄道、河川、住宅……。「大衆とともに」をスローガンとする公明にとって、生活に直結し「形として残る」国交省関連事業の重要度は高い。公共事業を無尽蔵に増やせる時代ではなくなったとはいえ、「この道路改修、治水事業に公明が汗をかいた」と訴えれば幅広い有権者に響きやすい。その手応えは、かつて公明が閣僚を出した厚生労働省や環境省関連事業の比ではないという。
こ のため公明は約3000人いる地方議員が地元要望を吸い上げ実現する手法もこの10年余りで確立した。例えば地元市議に「地元道路の舗装が荒れてきたので修復してほしい」と伝えると、党内ネットワークを通じて地元自治体や地方整備局、国交省本省へとつなげ、場合によっては斉藤氏の判断を仰ぐという。「要望伝達が制度化されており、素早く、きめ細かに対応してくれる。一人親方の集まりである自民党さんではこうはいかない」と、公明と付き合いのある業界関係者は語った。
自民は不満蓄積「ポストまわさないと」
国交相が魅力的なポストであることは自民にとっても同じだ。だからこそ、長らくポストを得られていないことに不満を蓄積させている。
こうした事情を背景に、関係者によると岸田文雄首相は21年の組閣時、公明の山口氏に「国交相を一度返してもらい、他の閣僚ポストをお願いできないか」との趣旨の打診をした。この時は山口氏の同意を得られず断念。岸田首相は22年の内閣改造でもポスト返還を求めたが断られたという。
現在、自公は東京での次期衆院選選挙協力交渉が不調に終わったことでしこりを残す。岸田首相は次の内閣改造で公明にどう対処するのか。自公双方が注視している。