ほさか栄次のブログ

ほさか栄次のブログです。

LRT、宇都宮市返済は年最大13億円 4年目から「黒字1.5億円」

LRT宇都宮市返済は年最大13億円 4年目から「黒字1.5億円」

 8月2日に、下野新聞は以下のように報じている。

 

 全国初の全線新設によるLRT。総事業費は684億円で、国が半分の342億円を補助し、残りを市と町が負担、県は83億円を上限に支援する。地盤改良や安全対策の強化、建設需要の高まりなどで総事業費は当初予定より1・5倍に膨らみ、1キロ当たりの費用46億円で開業を迎える。

    ◇  ◇

 地下鉄やモノレールよりは安価。だが、ゼロからの整備で初期投資は大きくなった。それでも、宇都宮市の佐藤栄一(さとうえいいち)市長は「増税など市民に新たな負担はない」と強調する。

 宇都宮市の財政力指数(2021年度)は0・98、芳賀町は1・03。全国平均の0・50を大きく上回り、ともに「財政は豊か」だ。例えば市は負担する282億円を20年間で返済する計画を立てている。1年当たりの返済額は最大13億円。市の予算規模の約0・7%にとどまる計算だ。

 運営方式は、軌道などの鉄道施設や車両を市町が整備・所有し、運行を第三セクターの宇都宮ライトレールが担う「上下分離方式」。大規模修繕や設備更新などの費用は市町が負担し、運転士などの人件費や市町に支払う年間9千万円弱の施設使用料などの支出は、大半を運賃収入で賄う。

 

初年度の運賃収入は5億円、1900万円の黒字と見込む

 

 市は開業初年度の運賃収入を約5億円と見込み、両市町の負担金約2億円と合わせ総収入約7億2千万円、1900万円の黒字になると試算。翌年からは負担金はなく、2年目の収入は8億円台、3年目以降は9億円台を見込む。需要が定着する4年目以降は「年約1・5億円の黒字」「開業前経費の累積損失は9年目で解消する」との見通しを立てる。

    ◇  ◇

 その上で市の担当者は「先の読めないところはある」と明かす。特に運賃は比較的安いため「将来的に人件費や物価も上がる。この水準をいつまで続けられるか」と不安ものぞかせる。

 赤字のJR線をLRT化した富山市は、乗客を倍増させて初年度から利益を確保。一方、新設鉄道では、田んぼが残る鉄道空白地帯を貫いた埼玉高速鉄道が需要予測を下回る出だしとなり、行政が一時負債を肩代わりする事態になった。

 開業を控えるLRTが同じ状況に陥る可能性はある。公共交通に詳しい関西大の宇都宮浄人教授は「LRTはまちづくりと一体で進めており、短期的な数字で一喜一憂してはいけない」と指摘。長い目で事業を見守る必要性を強調している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2023.9.15 BF原稿、元、8.2 下野】

 

LRT宇都宮市返済は年最大13億円 4年目から「黒字1.5億円」

 

8月2日、下野新聞は以下のように報じた。

 

 全国初の全線新設によるLRT。総事業費は684億円で、国が半分の342億円を補助し、残りを市と町が負担、県は83億円を上限に支援する。地盤改良や安全対策の強化、建設需要の高まりなどで総事業費は当初予定より1・5倍に膨らみ、1キロ当たりの費用46億円で開業を迎える。

    ◇  ◇

 地下鉄やモノレールよりは安価。だが、ゼロからの整備で初期投資は大きくなった。それでも、宇都宮市の佐藤栄一(さとうえいいち)市長は「増税など市民に新たな負担はない」と強調する。

 宇都宮市の財政力指数(2021年度)は0・98、芳賀町は1・03。全国平均の0・50を大きく上回り、ともに「財政は豊か」だ。例えば市は負担する282億円を20年間で返済する計画を立てている。1年当たりの返済額は最大13億円。市の予算規模の約0・7%にとどまる計算だ。

 運営方式は、軌道などの鉄道施設や車両を市町が整備・所有し、運行を第三セクターの宇都宮ライトレールが担う「上下分離方式」。大規模修繕や設備更新などの費用は市町が負担し、運転士などの人件費や市町に支払う年間9千万円弱の施設使用料などの支出は、大半を運賃収入で賄う。

初年度の運賃収入は5億円、1900万円の黒字と見込む

 市は開業初年度の運賃収入を約5億円と見込み、両市町の負担金約2億円と合わせ総収入約7億2千万円、1900万円の黒字になると試算。翌年からは負担金はなく、2年目の収入は8億円台、3年目以降は9億円台を見込む。需要が定着する4年目以降は「年約1・5億円の黒字」「開業前経費の累積損失は9年目で解消する」との見通しを立てる。

    ◇  ◇

 その上で市の担当者は「先の読めないところはある」と明かす。特に運賃は比較的安いため「将来的に人件費や物価も上がる。この水準をいつまで続けられるか」と不安ものぞかせる。

 赤字のJR線をLRT化した富山市は、乗客を倍増させて初年度から利益を確保。一方、新設鉄道では、田んぼが残る鉄道空白地帯を貫いた埼玉高速鉄道が需要予測を下回る出だしとなり、行政が一時負債を肩代わりする事態になった。

 開業を控えるLRTが同じ状況に陥る可能性はある。公共交通に詳しい関西大の宇都宮浄人(うつのみやきよひと)教授は「LRTはまちづくりと一体で進めており、短期的な数字で一喜一憂してはいけない」と指摘。長い目で事業を見守る必要性を強調している。