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これは踏切なの? 「宇都宮LRT」道路との交点に遮断機なし 代わりにあるものとは 開業まもなく

これは踏切なの? 「宇都宮LRT」道路との交点に遮断機なし

代わりにあるものとは 開業まもなく

 「乗り物ニュース」は、開業前の8月20日に、平石地区のLRTと道路の交差点(実質的には踏切)の現状について、以下のように報じた。

ライトラインの多くは併用軌道区間だが、専用軌道区間もある。線路と道路が交差する場所には接近表示器が設置されている(2023年7月乗り物ニュース記者撮影)。

まもなく開業する芳賀・宇都宮LRT。全長15km弱のうち約3.5kmの電車のみが走る専用軌道区間には、道路との交点があるものの、遮断機や警報器はありません。これは「踏切」と見てよいのでしょうか。

【2023年7月乗り物ニュース記者撮影】

実質的には踏切

栃木県宇都宮市芳賀町で2023年8月26日(土)、新しい路面電車「芳賀・宇都宮LRT」(ライトライン)が開業します。昭和30年代から40年代にかけて、国内では多くの路面電車が運行されてきましたが、その後はマイカーに押されて衰退。このほど開業するライトラインは国内で75年ぶりとなる、ゼロから路面電車が敷設された路線となります。

ライトラインは宇都宮駅東口〜芳賀・高根沢工業団地間を結び、全長は約14.6kmです。そのうち約11.1kmは、路面電車が道路上を自動車と一緒に走る、いわゆる併用軌道区間。残りは電車しか走ることができない専用軌道で、約3.5kmです。ちなみに専用軌道区間の大半は、緊急車両などが走行できるように路面が舗装されています。そのため、市などの公称では専用軌道ですが、法令上は併用軌道の扱いです。

開業間近の7月下旬、全線沿線を自転車で走り、習熟運転の様子や電停、沿線の風景などを見てきました。気になったのは、専用軌道区間で道路と交差するのに、遮断機や警報器などが設置されていない箇所が散見されたことでした。

このような箇所は、一般的な鉄道ならば踏切と称されます。2023年現在は原則、踏切の新設は認められていないため、ライトラインでは踏切のような扱いとなっていないわけですが、クルマや自転車、歩行者は自由に線路を横断できます。実態としては踏切と見られるでしょう。

遮断機や警報器の代わりとは

当然ながら、線路と道路が交差している箇所は事故が起きやすくなります。これまで宇都宮市には路面電車が走ったことはなく、特にクルマで走る宇都宮市民や周辺住民などは戸惑うかもしれません。

接近表示機が線路上に16か所設置

ただ、注意喚起を促すものとして、線路と道路が交差している箇所には電車の接近を音声・文字・光で知らせる接近表示器が設置されています。宇都宮市が発行している『広報うつのみや 令和5年8月号』によると、線路上16か所に設置されているとのことです。

よく見かけたのが、専用軌道である平石〜平石中央小学校前間や、平石から車庫へとつながる引込線です。なお、宇都宮駅東口に隣接した広場にも設置されていました。似たような例は、東京の大塚駅前停留所付近の都電荒川線でも見られます。

路面電車の運行について、市や警察が周知をしているとはいえ、慣れていない市民も多いことでしょう。線路を横断する際は必ず立ち止まって、目視での確認も忘れないようにしましょう。事故を起こさないこと、起きないことを願いつつ、新しい路面電車の開業が楽しみです。

 

【9月15日午後、保坂撮影、平石停留所付近】