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インボイス、生みの苦しみ 財務省が国税庁に求めたもの

インボイス、生みの苦しみ 財務省国税庁に求めたもの

 日経新聞は、インボイスの問題等、次のように報じた。

 

  消費税のインボイス(適格請求書)制度が1日に始まった。導入を進めてきた財務省国税庁の当局者は複雑な思いでスタートを見守った。

「消費税はいらない」「延期すべきだ」「生活が持たない」

1989年、日本で初めて消費税を導入した際、当時の大蔵省主税局では国民からの苦情の電話がひっきりなしに鳴ったという。

 

それから34年。「カネのないところから消費税を取るな」「いますぐ廃止すべきだ」。9月25日に首相官邸前であったインボイスへの反対運動も、当時と同じような声であふれた。

 

  今回は税率が上がるわけではない。ただ年間売上高1000万円以下の免税事業者が課税事業者に転換する場合に新たな税負担が生まれる。経理や納税の事務負担も増える可能性があり、中小事業者やフリーランスにとって重荷になる。

 政府は納める税額を販売時に受け取った消費税額の2割に抑える特例の導入やシステム整備のための補助金などの負担軽減を打ち出してきた。国税庁も税務調査でも柔軟な対応をする方針を示す。


 国税庁の住沢整長官は9月、日本経済新聞のインタビューで「軽微な記載のミスを確認するための調査はこれまでしてきていない。記載事項(の不備)をあげつらうような調査はしない」と語った。

 

 何気ない発言に見えるが、この見解を国税庁が表明するまでには財務省主税局との間で駆け引きがあった。財務省側が事業者の不安を和らげてほしいと働きかけたが、国税庁は慎重だったという。税務調査の方針をあらかじめ明らかにするのに抵抗感があったようだ。

 国税庁財務省の外局だ。住沢長官の前職は財務省の主税局長でもある。両者は一体に見えて、国税庁が徴税、主税局は税制にかかわる企画立案と役割は異なる。

 

 すべての税制は適正な徴税があってこそ成り立つ。インボイスを巡る財務省国税庁のやりとりには、導入から34年たっても反発が残る消費税の新たな仕組みの「生みの苦しみ」が映っているように見えた。