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女性有業率、25〜39歳で初の8割超え 2022年 総務省の就業構造基本調査

女性有業率、25〜39歳で初の8割超え 2022年

総務省の就業構造基本調査

総務省が21日に発表した2022年の就業構造基本調査によると、25〜39歳の女性のうち働く人の割合が81.5%と初めて8割を超えた。共働き世帯の増加を踏まえ、育児との両立可能な働き方や「年収の壁」を意識して女性が働く時間を調整している問題などの解消が急がれる。

15歳~64歳女性有業率72.8%

女性の有業率(仕事をしている人の割合)は53.2%と17年の前回調査から2.5ポイント上昇の過去最高だった。働く女性の数も3035万4000人で最多だった。15歳から64歳までの生産年齢人口でみた女性の有業率も4.3ポイント上昇の72.8%で最高を更新した。

生産性を向上するには望まない非正規雇用の正規化やシニア世代の活躍といった働き方の転換が必要だ。育児や介護を抱える人が働き続けられる環境づくりも避けられない。


女性:育児退職14万1000人、介護退職8万人

今回の調査では育児を理由に過去1年以内に離職した女性がなお14万1000人いることが分かった。同じ時期に介護を理由に離職した男性は2万6000人、女性は8万人だった。5年前と比べてそれぞれ2000人、5000人増えた。


女性:育児しながら仕事85.2%

一方で未就学児の育児をしながら働いている人の割合も85.2%に上り、前回から5.9ポイント上昇。この項目の調査を始めた12年以降で最高となった。

副業:305万人

非農林業従事者のうち副業がある人は305万人で前回から60万人増えた。今回初めて調査対象にしたフリーランスを本業とする人の数は209万人で有業者の3.1%を占めた。

1年間にテレワークを実施した人も有業者の2割近くにのぼるなど、新型コロナウイルス禍で働き方の多様化が進んだことがうかがえる。

日本の女性就業環境は率だけをみると、主要7カ国(G7)で最高水準に近づいてきた。

経済協力開発機構OECD)によると、15〜64歳の生産年齢人口に対する働く女性の割合は22年時点で日本は74.3%。米国の69%やフランスの70.7%を上回り、G7で最も高いカナダの76.7%に接近する。

 

 

 

 

就業構造基本調査は5年ごとに実施する。22年10月1日時点の就業形態などについて全国およそ54万世帯の15歳以上の108万人ほどを対象とした結果を基に推計した。

非正規で働く人の雇用者に占める割合は男性が22.1%、女性が53.2%だった。前回比でそれぞれ0.2ポイント、3.4ポイント下がった。

04年の製造業への派遣労働解禁など労働者派遣法の相次ぐ改正で非正規は増えてきたが、コロナ禍や近年の人手不足で正規化の動きが出ている。

大正大の小峰隆夫客員教授は「女性や高齢者の労働参加で生産年齢人口の減少を補ってきた。8割程度の北欧レベルまでまだ上がる余地はあるが限界はくる」と指摘する。

今回の調査で改めて浮き彫りとなったのは「年収の壁」を巡る実態だ。年収が一定水準を超えると社会保険料などが発生して手取りが減る。それを避けるために就業時間を減らして年収を調整している人は増えている。

非正規で働く女性のうち就業調整をしている人は22年に32.8%と1.1ポイント上がった。年齢別にみると40〜44歳が38.9%で最も高かった。就業調整している女性を所得階級別にみると50万〜99万円が49.5%、100万〜149万円が38.1%。50万円未満も含めると9割超に上る。

政府は人手不足対策で、働く時間を延ばして「年収の壁」を超えても手取りが減らないよう企業に助成金を配る検討をしているが、一時しのぎの案にすぎない。

もっと長く働きたい人が働きやすい環境づくりは不可欠だ。女性の就業による労働力の確保にも天井感が出ており、非正規を含めた就業時間の延長が重要になる。

日本は米欧と比べ、週30時間未満の短時間労働者の割合が高い。19〜20年について労働政策研究・研修機構が調べたところ日本は25.8%だった。英国の22.4%やドイツの22.0%、韓国の15.4%などを上回る。

女性の就業のM字カーブ
日本の女性の有業率を年齢層別にみると、20代後半から30代にかけてでくぼむ「M」の形にみえることから名付けられた。20代後半に有業率が高まり、結婚や出産などを理由に30代で低下し、子育てが落ち着いた時期に再び上昇する傾向にあった。
人手不足を背景とした共働き世帯の増加など、女性の職への定着が進んだことでM字は改善傾向にある。近年は欧州各国のようなくぼみのない「台形」に近づきつつある。