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イスラエルパレスチナ

「ガザ戦闘はジェノサイド」 南アが提訴 国際司法裁、審理始まる

イスラエルの戦闘停止を求めた訴訟の審理中継を眺めるデモ参加者たち=オランダ・ハーグで2024年1月11日、ロイター

空爆を受けたガザ地区


イスラエルパレスチナ自治区ガザ地区で続けている戦闘は「ジェノサイド」(集団殺害)にあたるとして、南アフリカイスラエルによる戦闘停止や、再発防止などを求めた訴訟の審理が11、12両日、オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)で開かれた。審理は数年かかるとみられているが、ロイター通信によると、ICJは数週間以内にも停戦などを求める「暫定措置」を出すかどうかを決める可能性があり、ICJの判断が注目されている。

ガザ地区では、イスラム組織ハマスイスラエルに越境攻撃を行った昨年10月7日以降、激しい戦闘が続いている。訴状によると、南アはイスラエルガザ地区で集団殺害を意図した行為を続けており、1951年に発効したジェノサイド条約に違反していると指摘。ICJに対し、イスラエルパレスチナ人の殺害をやめ、ガザ地区への支援物資の制限などを解消するよう命じることを求めている。

 

11日は南アの代表団が口頭弁論を行い、イスラエルのネタニヤフ首相らの発言を引き合いに「イスラエルの政治指導者や軍の司令官は集団殺害の意図をはっきりと述べている」と指摘。イスラエルパレスチナ人に対しアパルトヘイト(人種隔離)政策を続けており、今回の戦闘もその一環だと主張した。

これに対し、イスラエルの代表団は12日の弁論で、ハマスが昨年の越境攻撃で多数の民間人を殺害したことに触れ「ガザ情勢の全責任はハマスにある」と反論。ハマスの方がイスラエルに対して「ジェノサイド」を行おうとしていると主張し、イスラエルによるガザ地区への攻撃は「自衛権」の行使だと訴えた。

ジェノサイド条約は第二次世界大戦中のユダヤ人の大量虐殺(ホロコースト)を受けて採択され、イスラエルも批准している。特定の民族や宗教集団の一部、または全体を破壊する意図で殺害したり、肉体的・精神的危害を加えたりする行為などを「ジェノサイド」と定義している。

イスラエルパレスチナ政策を巡っては、ICJが2004年、ヨルダン川西岸でイスラエルが建設した「分離壁」について「国際法違反」と判断したが、イスラエルは無視している。今回、ICJが停戦を命じた場合も軍事作戦を続ける可能性がある。

【視点】

国際司法裁判所(ICJ)は、国際連合の主要な機関であり、国家間の法的紛争を解決するための最高の司法機関の一つで、CJの判決は、当事国に対して法的に拘束力がある。

しかし、国際司法裁判所の判決が実際に履行されるかどうかは、様々な要因に依存し、国家主権の尊重や国内政治的な事情などが影響して、判決の履行が難しい場合もある。

イスラエルは、2004年に「分離壁設置」に関して国際司法裁判所の違法判決が出されたが、それを無視をしている過去があり、今回も判決がでても無視する可能性が高く、いかにして国際司法裁判所の判決を履行させるかが大きな課題でもある。